避妊薬ピル
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性行為と避妊について
健康面に問題のない男女が避妊なしの性行為を行った場合、自然妊娠に至る確率はおよそ20%から30%であるとされています。
半数にも満たないと考えれば、それほど高い数値には見えないかもしれません。
しかし、その低い確率を偶然にも引き当ててしまい、望まない妊娠をして思い悩む方が大勢いるのが現状です。
もしも「1度くらいなら大丈夫だろう」「危険日じゃなければ問題ない」「避妊しているから絶対に安全」と考えている方がいるならば、それは非常に危険な思い込みであることをご理解下さい。
1度の性行為で妊娠してしまうケースも多々ありますし、女性が妊娠しやすい周期はあったとしても絶対に妊娠しない周期は存在しません。
避妊していない状態での性行為は、常に妊娠する可能性と隣り合わせとなります。
そして留意しておきたいのが、避妊していても妊娠のリスクをゼロにはできないということです。
避妊の成功率
妊娠確率を表す手段の1つに、パール指数と呼ばれる方式があります。
同じ避妊方法を1年間実践した100人の女性のうち、妊娠に至った女性が何人いるかを数えたものです。
パール指数1%は100人中1人が妊娠(避妊に失敗)したことを示しています。
日本産婦人科学会によると、コンドームを正しく使用した場合のパール指数は2%、経口避妊薬を正しく使用した場合のパール指数は0.3%です。
どれだけ低い数値であったとしても、可能性がゼロではない限り、油断することはできないでしょう。
妊娠を望まないのであれば、妊娠と避妊についての正しい知識を持ち、万が一の事態にも対応できるよう備えておく必要があります。
参考:日本産婦人科学会「第70回日本産科婦人科学会学術講演会 専攻医教育プログラム 女性のヘルスケア」
避妊方法
先ほどはコンドームと経口避妊薬を例として挙げましたが、避妊方法はこれらだけではありません。
個人で実施できるものから医療機関で対応してもらうものまで様々な種類があります。
コンドーム
勃起した状態の男性器に装着することで、精液の膣への侵入を防ぐ避妊具です。
ゴムやポリウレタンの素材で作られた薄い膜を被せるようにして使う為、俗にゴムやスキン等とも呼ばれています。
男性が主体で行う避妊方法なので、双方の避妊に対する理解と協力が不可欠です。
生殖器同士の接触を妨げることから、性感染症の予防にも効果が期待できます。
避妊薬
体内の女性ホルモンの量を調整し、妊娠しづらい環境を作り出す医薬品の一種です。
毎日決まった時間に服用するタイプのものと、避妊なしでの性行為を行ってしまった直後に服用するものがあります。
女性が主体で実行できる避妊方法であり、正しい方法で服用すればコンドームよりも避妊の成功確率が高いです。
用量の少ないピルは、生理周期の調整や月経困難症の軽減等に利用される場合もあります。
IUD(子宮内避妊具)
正式な承認を得ている産婦人科医の在籍する医療機関でのみ実施してもらえる避妊方法です。
T字型の小さな器具を膣内へ挿入しておくことで、受精や受精卵の着床を阻害します。
1度挿入すると最大で5年近く効果を発揮し続ける為、コンドームのように使用中に外れてしまったり、ピルのように飲み忘れて効果が薄れてしまったり、といった人為的なミスのリスクはありません。
海外ではピルと同じくらい主流となっています。
避妊(不妊)手術
生殖機能を著しく減退させる外科手術です。
施術は男女共に可能であり、精子もしくは卵子の通り道となる管を塞ぐことで受精ができない状態を作り出します。
基本的には、1度施術を受けると半永久的に妊娠させるまたは、妊娠することができなくなる為、時間をかけてじっくりと検討しましょう。
また、他の方法と比べて確実性は高いものの、相応の手術費用がかかりますので、経済面での覚悟も必要です。
避妊薬とは?
ここからは、先述した避妊方法の中から避妊薬について詳しく解説していきます。
避妊薬とはその名の通り避妊を促す医薬品であり、常用するタイプと緊急時にのみ服用するタイプに大別できます。
常用タイプの経口避妊薬
商品ごとに決められた用法・用量で服用を続けることで、ホルモンバランスを安定させて妊娠を予防する医薬品です。
有効成分はそれぞれ女性ホルモンの代替となる作用を持っており、含有量が少ないものから順番に超低用量ピル、低用量ピル、中用量ピル、高用量ピルと呼ばれて区別されます。
含有量が多いほど高い効果を発揮してくれますが、比例して副作用も強く出る傾向にある為、一般的には低用量ピルか超低用量ピルを利用する方が多いようです。
また、体内のホルモンバランスが安定することから、避妊以外にも月経困難症やPMS(月経前症候群)の症状改善、生理周期の調整、更年期障害の緩和、肌荒れ改善といった副次的効果も期待できます。
性行為後に服用するタイプの経口避妊薬
アフターピルとも呼ばれる緊急避妊薬です。
妊娠を望んでいないにも関わらず、何らかの原因で避妊なしの性行為に及んでしまった際に服用します。
商品にもよりますが、多くの場合は性行為後72時間以内に服用できれば高確率で妊娠を回避することが可能です。
1錠あたりの有効成分の含有量が多い為、副作用が強く出てしまうケースもあります。
常用することを前提とした医薬品ではなく、事前に服用していても妊娠の予防効果は期待できません。
あくまでも緊急時にのみ利用する最終手段だとお考え下さい。
避妊薬の副作用
女性の体内では、常に一定量の女性ホルモンが分泌されています。
避妊薬を服用すると、女性ホルモンが体外からも供給される形になるので、身体が驚いて拒絶反応(副作用)を示すことがあります。
耐えられないほど症状が強い場合は医療機関の受診が必要ですが、そうでない場合には、吐き気であれば吐き気止め、頭痛であれば頭痛薬といった市販の医薬品との併用で対処が可能です。
常用タイプの避妊薬に関しては、初めて服用する方や別の商品への切り替えを行った方は副作用が発現しやすいと言われています。
この場合は服用を継続して身体が慣れれば自然と症状も軽減しますので、一定期間服用を続けて様子を見ましょう。
アフターピルに関しては、先述したように元々強めの副作用が起きる可能性が高いので、対処法について事前に理解しておくことが重要です。
市販薬や医療機関への連絡手段を用意し、体調が落ち着くまで安静にするよう心掛けて下さい。
避妊薬の主な副作用は、以下の通りです。
- 嘔吐、吐き気
- 不正出血
- 胸の張り
- 頭痛
- 腹痛
- 胃腸障害
- めまい
- 抑うつ症状
- むくみ
- 眠気、倦怠感
パートナーとの話し合い
あなたは性行為や妊娠、そして避妊について、パートナーと考え方を共有できていますか?
日本では性についての話題を恥ずかしいものとして認識し、人前では慎むべきであるとする風潮があります。
それ自体はある種、仕方のないことかもしれませんが、妊娠となると話は別です。
妊娠させた男性や妊娠した女性はもちろん、双方のご家族さえも巻き込んだ人生の分岐点となる可能性があります。
互いに家庭を作ることを望んで妊活に励んでいたのなら問題はないでしょう。
しかし、その覚悟や準備がないまま妊娠に至り、出産や育児を断念する選択肢しか選べない状況になってしまうと、心身共に壮絶な負担を強いられることとなります。
その場の勢いに任せた軽率な行動は控え、まずはきちんと話し合いをして下さい。
避妊具や避妊薬の使用も、互いを思いやる愛情確認の手段の1つであると理解し合うことができれば、パートナーとの性生活を更に前向きで楽しいものにしていけるはずです。